皆様、こんにちは。横浜西区みなとみらいの税理士の古閑です。
当事務所では、多くの美容室の顧問をさせていただいております。美容室のクライアント様は、個人事業主の場合も法人の場合もありますが、今回は、スタートアップに多く見られる個人事業主の美容室にターゲットを絞って説明していきます。
美容室を個人で経営している方や、これから法人化を検討している方にとって、税金の知識は経営の安定と発展に欠かせない要素です。
今回は、税理士の立場から、美容室経営にまつわる税金の基礎知識と、実際によくある具体例を交えてご紹介します。
美容室を開業する際、まず必要なのが税務署への届出です。
美容室を始めたら「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出します。これを出していないと、後々トラブルになる可能性になります。
帳簿をしっかり付けて節税したいなら、青色申告は必須です。例えば、青色申告では最大65万円の控除が受けられます。開業後2ヶ月以内に提出する必要があるので注意しましょう。
美容室の運営には様々な出費があります。どれが経費になるのか、しっかり把握しましょう。
様々なものがありますが、今回は一例をあげさせていただきます。
シャンプーやカラー剤などの材料費
店舗の家賃や光熱費
美容器具のリース代
集客のための広告費
外注スタッフへの報酬(業務委託の場合)
自宅の一部を店舗にしている場合、家賃や電気代などは”事業用の割合”で按分する必要があります。
例えば、80平米のうち20平米を美容室として使っていれば、25%が経費として認められる可能性があります。
帳簿の管理は、税務調査の際にも重要です。
手書き帳簿でも問題はありませんが、レジ連携型のクラウド会計ソフトを使えば、売上や経費の記録が正確に行え、申告もスムーズになります。
昨今は、様々なサービスがありますので活用すべきです。
現金売上の記録漏れや、レジと帳簿の金額が一致しないといったケースは、税務署からの指摘対象になります。
2023年から始まったインボイス制度。美容室も無関係ではありません。
美容室の多くは消費者向けのビジネスなので、取引先からインボイスを求められることは少ないです。
ただし、美容学校や撮影スタジオとのBtoB取引がある場合、インボイスの発行を求められるケースがあります。登録するかどうかは、取引先との関係を踏まえて判断が必要です。
ある程度の売上や従業員数になったら、法人化を検討するのも一つの選択肢です。
所得税より法人税の方が税率が低い場合がある
社会的信用が上がる
家族を役員にして給与を払うことで所得分散が可能(実際に勤務していることが必須)
社会保険の加入が義務になる
決算書類や申告の手間が増える
年間売上が1,000万円を超え、スタッフを2〜3名雇っている美容室が「税負担が重くなってきた」と相談に来られたケースでは、法人化によって社会保険の負担は増えたものの、節税効果と社会的信用の向上により、新規顧客や求人面でもプラスの結果となりました。
美容室の経営に集中したいなら、税務の専門家と連携するのもおすすめです。
記帳代行や決算申告の代行
節税対策の提案
法人化のシミュレーション
定期的に相談することで、無駄な税金を減らしながら安心して本業に集中できます。
美容室経営には、技術やサービス力だけでなく、税務の知識も不可欠です。
特に個人事業からスタートした方は、あるタイミングで法人化を検討することで、経営の幅が広がります。税理士とタッグを組んで、ムダなく、強い経営体質を目指しましょう。