こんにちは。横浜市西区みなとみらいの税理士の古閑千枝です。
「個人事業で続けるべきか、法人にすべきか…」
事業が軌道に乗り始めた方の中には、そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そのような方向けに、個人事業主が法人化する際の基本的な手続きとスケジュールについて、税理士の立場から分かりやすく解説します。
そもそも法人化とは、個人ではなく会社という法人格をもって事業を行うことを指します。最も多い形態は「株式会社」や「合同会社」です。
法人化を検討する主な理由としては、次のようなものがあります:
節税効果が見込める(役員報酬や経費処理の幅が広がる)
社会的信用度が高まる(金融機関の融資や取引先との契約で有利)
人を雇いやすくなる(社会保険の加入が前提となるため)
とはいえ、法人化には手間も費用もかかります。
メリット・デメリットを理解したうえで、スケジュールを立てて進めることが大切です。
ここでは、個人事業主が株式会社を設立する場合をモデルに、法人化の手続きとスケジュールをまとめます。
まずは、法人設立日(会社の誕生日)をいつにするかを決めましょう。
たとえば、「4月決算の会社にしたい」「売上のタイミングに合わせたい」など、事業の動きや税務上の都合に合わせて検討します。
また、法人化の前後での売上や経費の扱いが変わるため、税理士など専門家に相談してからスケジュールを立てるのがおすすめです。
法人設立には、次のような準備が必要です。
会社の基本事項を決定(会社名・所在地・資本金・事業目的・役員構成など)
定款の作成(電子定款にすることで印紙代が節約できます)
法務局に提出する登記書類の準備
このあたりは、司法書士との連携でスムーズに進めることが可能です。
設立したい日に法務局で登記を行うことで、その日が法人の設立日となります。
この時点で、法人としての活動がスタートします。
法人を設立したら、以下のような届出を行う必要があります。
税務署への届出(法人設立届出書、青色申告の承認申請書など)
都道府県・市区町村への法人設立届出
年金事務所・労働基準監督署・ハローワークへの社会保険・労働保険の手続き(役員でも加入義務があります)
これらは期限が決まっているため要注意です。税理士や社労士に依頼して確実に行いましょう。
法人化により、個人事業は終了することになります。そのため、税務署に「個人事業の廃業届出書」を提出しましょう。
※青色申告の取り消し届など、必要な書類も併せて提出が必要です。
法人化したあとは、会計・税務・社会保険すべてが個人事業のときより複雑になります。
帳簿のつけ方や決算のルールが変わる
役員報酬の決め方や、毎月の社会保険料の支払いが発生
決算書の提出義務や法人税の申告
これまでの「ざっくり経理」では対応できなくなるため、法人化を機に税理士へ顧問依頼する方が非常に多いです。
法人化は大きな節目ですが、準備とスケジュールをきちんと組めばスムーズに進められます。
特に、税務・社会保険の届出や手続きは期限付きなので、プロのサポートを受けるのが安心です。
「法人化を考えはじめたけど、何から始めたらいいかわからない…」
そんな方は、当事務所にお気軽にご相談ください。状況に応じて、ベストなタイミングと手順をご提案いたします。